ヒノヤを語るうえで絶対に外せないのが、リジッド(生デニム)やヴィンテージジーンズを購入した際のアフターサービス、とりわけヒノヤ裾上げチェーンステッチの技術力です。多くの量販店で行われている一般的な「シングルステッチ」では、履き込んで洗濯を繰り返した際に裾へ特有の斜め方向のネジレや縄状の美しいアタリ(色落ち)が生まれません。
ヒノヤでは、1950年代製を中心とする米国製の名機「ユニオンスペシャル(Union Special 43200G)」を店舗内に常備。熟練のスタッフが、ジーンズの生地の厚みや織りの癖、縮率を見極めながら絶妙なテンションで縫い上げていきます。このミシン特有の傾斜構造によって縫い目に絶妙なパッカリングが生じ、半年から1年履き込んだ際に愛好家が理想とする「ウネリのあるアタリ」が裾に浮かび上がるのです。
現場取材で見逃せないのはそのスピード感。通常、ヴィンテージミシンでのチェーンステッチは専門店に郵送して数週間待つケースが一般的ですが、ヒノヤ本店では混雑状況にもよるものの、店内で買い物を楽しんでいる間のわずか15分〜30分程度で即日仕上げを行ってくれます。「買ったその日に、理想の長さと理想の縫製で持ち帰れる」という体験価値は、高架下の現場ならではの大きな強みです。