日本で最も有名な指名手配写真の一つ。黒縁メガネをかけ、親しみやすささえ感じさせる若き日の桐島聡の表情は、昭和の過激派テロの記憶とともに人々の脳裏に焼き付いていた。しかし、実際に発見された彼の最期の姿は、そのイメージとはかけ離れたものだった。
末期がんに侵され、痩せ細った体。白髪混じりの薄くなった髪に、深く刻まれた眉間のシワ。かつての面影は、注意深く観察しなければ分からないほどに失われていた。半世紀という歳月は、一人の人間をこれほどまでに変走させる。街ですれ違ったとしても、あのポスターの男だと気づける者は誰もいなかったはずだ。それほどまでに、時間は残酷で、かつ完璧な隠れみのとなっていた。