なぜ、滝の裏側に人が立てるほどの広い空間が存在するのか。その秘密は、太古の地球が起こした激しい脈動にある。
今から約9万年前、阿蘇山が起こした破局的な大噴火。膨大な火砕流堆積物がこの地を覆い尽くした。長い年月をかけて川が削ったのは、上部の固い溶岩層ではなく、その下に重なっていた柔らかい凝灰岩の層だ。水流の侵食によって下部だけが奥へと削れ、上の硬い岩盤がまるで巨大な屋根のように張り出す。こうして、人が歩けるほど広大な自然のテラスが誕生した。
水の幕の裏側に立つと、しぶきを上げた水滴がまるでガラス細工のように眼前に迫る。水のシールド越しに眺める木々の緑は、表側から見る風景とは全く異なる色彩のコントラストを描き出す。ドーム状の空間に反響する心地よい水音。単なる観光を超えた「地球の記憶の中に入り込む」ような感覚がここにある。