言葉の切なさを何倍にも際立たせているのが、ベースの小島和也とドラムの栗原寿による、しなやかで力強いアンサンブルだ。「アップルパイ」はアップテンポで跳ねるようなビートが特徴的だが、ただ明るいだけではない。演奏全体が歌詞の感情曲線と完璧に同期している点が見逃せない。
小島が刻む軽快なベースラインは胸の高鳴りを演出し、栗原の疾走感あふれるドラミングは焦燥感を煽る。ヴォーカルを前面に押し出しつつ、バンドとしてのグルーヴをしっかりと主張する緻密なアレンジ。この3人の息の合った演奏があるからこそ、切ない歌詞が湿っぽさに陥らず、何度でもリピートしたくなる極上のポップチューンへと昇華されている。