かつて木造建築といえば、低層住宅や限られた店舗デザインの領域を出なかった。しかし2026年現在、世界の都市部で建設されているのは100メートルを超える木造ハイブリッド高層ビルだ。それを可能にしたのが、いわゆるCLT(直交統合板)やLVL(単板積層材)に高度なデジタル処理を施したマテリアル革命である。
コンピューターで木の繊維方向を解析し、ミクロン単位で応力設計された部材は、同重量の鉄骨を凌ぐ引張強度を見せる。地震国である日本においても、しなやかに揺れを逃す木材特有の粘り強さに注目が集まり、最新の制震構造と組み合わされた超高層構造体が誕生している。建築現場では「コンクリートを流し込む時代から、木を組む時代へ」というシフトが現実のものとなった。