広報制作や作画において、どのような方針でイラストを決定すべきか。情報発信者の立ち位置に応じた明確な判断基準を提示します。
【プロの結論】採用すべきケースと慎重になるべきケース
▼ 採用を推奨するケース:
医療・自治体・福祉法人の公式案内において、JIS規格に準拠したピクトグラムや、安全管理基準(シートベルト着用、フットサポート接地)を満たしたリアルなイラストを用いること。また、パラスポーツイベント等でダイナミックなキャンバー角を持つ競技用車椅子の躍動感あるビジュアルを展開することは、啓発面でも絶大な効果を生みます。
▼ 慎重な見直しが必要なケース:
商業広告において「弱者のシンボル」として車椅子を過剰にドラマチックな文脈でのみ消費することや、国際シンボルマーク(RIマーク)を無断で商業製品のロゴや無関係なデザインの一部に組み込むこと。これらはブランドのコンプライアンスリスクを直撃します。
デザインとは単なる装飾ではなく、社会の認識を形づくるメディアです。障害を個人の身体的欠損としてのみ捉える「医療モデル」から、環境や意識の障壁を取り除く「社会モデル」へと福祉観が転換した現代において、イラストが発信するメッセージの解像度を上げることが、発信者自身の信頼性を守る防波堤となります。