沖縄における霊媒の歴史は、かつての琉球王国時代にまでさかのぼる。王府は国家の安泰や豊作を祈る公的な神職組織「ノロ(祝女)」を制度化する一方で、民間の困りごとや病気治療にあたるユタの存在を時には制限し、時には頼りながら共存させてきた。歴史の荒波をくぐり抜け、独自の神話体系が守られてきた背景には、島々を包む御嶽(ウタキ)という聖域の存在がある。
中でも、世界遺産にも登録されている斎場御嶽(セーファウタキ)は、琉球の最高神女である聞得大君(きこえおおきみ)の即位式が行われた最重要な聖地だ。巨岩が重なり合うこの神聖な空間では、今日でも静かに手を合わせる人々の姿が絶えない。自然そのものを神と見なし、風や光の揺らぎの中に神意を感じ取る感性こそが、沖縄の霊媒文化を支える精神的基盤となっている。