ネット上の掲示板やSNSでは、アリス症候群の症状に対して「精神がおかしくなったのではないか」「幻覚が見えるなら精神科に入院すべき重病では」といった極端な憶測や誤解が散見されます。しかし、この先入観こそが当事者を精神的に追い詰める最大の盲点です。
アリス症候群の知覚変容は、統合失調症などの精神病で見られる「実在しない人物や声が存在すると確信する幻覚・妄想」とは根本的に異なります。患者は「現実の物体が一時的に変形して見えている」という自覚(インサイト)を保っており、理性的な判断力が失われているわけではありません。
したがって、「気の狂い」や「霊的な現象」などと誤認して放置したり、精神科の強力な抗精神病薬を安易に処方されたりすると、本来の病態である偏頭痛やウイルス感染後の神経炎症が見過ごされる恐れがあります。まずは神経学的・脳機能的な問題として客観的に捉える視点が不可欠です。