歴史好きにとって、ここは外せない聖地だ。「鬼石曼子(グイスマンズ)」と恐れられた戦国最強の武将、島津義弘。関ヶ原の戦いにおける「敵中突破」で天下にその名を轟かせた義弘が、晩年を過ごし生涯を閉じたのが伊集院の徳重神社周辺である。
毎年秋に開催される「妙円寺まいり」の熱気は凄まじい。鎧武者姿の市民や若者たちが、鹿児島市内から日置の徳重神社を目指して夜を徹して歩き通す。400年以上受け継がれてきたこの行事は、単なる回顧ではない。先人たちの不屈の気骨を現代の身体感覚として呼び覚ます儀式だ。境内を包む太鼓の轟音と甲冑の擦れ合う乾いた音が、時空の境界線を心地よく曖昧にしていく。