大泉門は平ら、あるいは触れるとわずかにくぼんでいる程度が通常の状態です。しかし、体調や病態によって「陥没」や「膨隆(ぼうりゅう)」といった顕著な変化を起こすことがあります。
大泉門がくっきりと凹んでる原因として最も警戒すべきは、赤ちゃんの脱水症状です。発熱、激しい下痢や嘔吐、あるいは母乳や水分の摂取不足が続くと、体内の水分量が減って頭蓋内の圧力が下がり、大泉門が深くへこみます。「おしっこの回数や量が明らかに減っている」「唇や口の中が乾いている」「泣いても涙が出ない」といった状態が伴う場合、速やかな水分補給と小児科での診察が不可欠です。
反対に、大泉門がポコッと盛り上がりパンパンに張っている膨らみは危険な兆候となり得ます。激しく泣いている時やいきんでいる時に一時的に膨らむのは生理現象ですが、静かに寝ている時や抱っこで落ち着いている時にも膨隆が治まらない場合は、頭蓋内圧亢進が疑われます。
特に注意が必要な疾患が大泉門の膨隆を伴う髄膜炎や脳炎、頭蓋内出血、水頭症などです。細菌やウイルスが脳を包む髄膜に感染すると脳圧が急上昇し、大泉門が風船のように固く盛り上がります。高熱や頻回な嘔吐、視線が合わない、刺激に対してぐったりして反応が鈍いといった症状が重なっている時は、一刻を争う救急事態です。