1980年代に入ると、タモリは『笑っていいとも!』をはじめとするテレビの王道バラエティへ進出します。毒気を抑えた「お茶の間の昼の顔」として親しまれる一方で、深夜番組『タモリ倶楽部』では、マニアックで知的な遊び心を生涯失いませんでした。
2026年春に惜しまれつつ幕を閉じた『タモリ倶楽部』でも、空耳アワーやニッチな音楽企画の根底には、初期密室芸で培われた「音への異常なこだわり」が一貫して流れていました。初期の「勧進帳」を知るオールドファンからすれば、深夜のタモリの姿は、かつて新宿の夜を揺るがした知的な狂気の残り香を感じさせるものでした。