彼女の足跡を振り返る上で欠かせないのが、氷上での圧倒的な実績だ。4回転ジャンプを女子選手として世界で初めて成功させた偉業は、今なお歴史に刻まれている。トリノオリンピックでの激闘や、世界フィギュアスケート選手権での2度にわたる金メダル獲得は、日本中に大きな感動をもたらした。
しかし、その華々しい活躍の裏で、日本スケート連盟との関係やメディアからの過剰な注目に対し、葛藤を抱える場面も少なくなかった。国際オリンピック委員会が掲げるスポーツマンシップを体現しつつも、プライベートを巡る過熱取材に晒され続けた日々。アスリートとしての誇りと個人の尊厳との狭間で揺れ動いた経験が、後の「父親を公表しない」という決断に大きな影響を与えたと見られている。