帯広の雪景色と人間の泥臭い再起劇を見事に融合させた作品といえば、名匠・根岸吉太郎監督の手掛けた映画『雪に願うこと』だ。事業に失敗し、傷つきながら故郷へ戻ってきた男が、ばんえい競馬の世界で揉まれながら生きる意味を再発見していく姿を描いた重厚な人間ドラマである。
物語の核となったロケ地が帯広競馬場だ。体重1トンを超える巨馬が力強く坂を越えていく迫力と、シンと静まり返る北国の静寂。根岸監督の手腕によって切り取られた映像は、挫折と再生のドラマを寒冷な空気感とともにスクリーンへ焼き付けた。第18回東京国際映画祭で主要部門を独占した本作は、帯広という土地が秘める劇的な表現力を証明した珠玉の一本だ。