自立のための手段として彼女が選んだのは、実力主義が徹底された不動産業界だった。乳児の育児と家事の合間をぬって猛勉強を重ね、難関とされる宅地建物取引士(宅建)資格を見事に一発合格。その才能と努力を買われ、大手である三井不動産グループの三井不動産リアルティに入社を果たした。
業界に足を踏み入れた彼女を待っていたのは、過酷な営業の世界だった。だが、持ち前の誠実さと気品、そして相手の心に寄り添う圧倒的なコミュニケーション能力で、顧客からの絶大な信頼を獲得していく。高額物件を取り扱う不動産仲介の現場で、彼女は瞬く間にトップセールスパーソンへと登り詰めた。名門の令嬢でも政治家の元妻でもなく、「営業職・宮本佳代子」という個人の腕一本で掴み取ったこの実績こそ、彼女が社会の中で勝ち得た本当の自立の証だった。