ネット上のコミュニティやSNSを観察すると、「足の小指を家具にぶつけて2週間放置したが、靴を履くたびに激痛が走るため病院へ行ったら綺麗に折れていた」「ただの突き指だと思い込み、変な方向に曲がったまま固まってしまった」という告白が後を絶ちません。多くの人が「小指くらいで大げさに病院へ行くのは恥ずかしい」という心理的抵抗から受診を先送りにしてしまいます。
整形外科の臨床現場において、足趾(そくし)骨折は外傷の中でも極めて高頻度で遭遇する疾患です。特に基節骨(指の根元の骨)の骨折は、家具の脚に引っ掛けて外側に強制的に開かされる「外転強制力」によって発生しやすく、外見上はわずかな曲がりに見えてもレントゲン画像上では粉砕骨折や斜骨折を呈しているケースが多々あります。「歩けるから折れていない」という言説は医学的な根拠を欠く誤った思い込みに過ぎません。