店の真ん中に鎮座する大きな「おくどさん(かまど)」。そこへ巨大な羽釜が据えられ、薪の炎が赤々と燃え上がる。一見すると昔ながらの風景だが、ここで行われているのは極めて高度な職人の感覚技だ。火加減ひとつで米の立ち具合も、甘みの引き出し方もガラリと変わる。タイマーの電子音に頼る調理法とはわけが違う。
炊き上がりの瞬間、木蓋が持ち上げられると、視界が一瞬で純白の湯気に包まれた。粒が立ち、まるで真珠のように輝く米。茶碗に装われた温かいご飯を口に運ぶ。噛んだ瞬間に弾ける瑞々しさと、噛むほどに増す濃厚な甘み。それだけでのおかずなど要らないと思わせるほどの存在感が、そこにはあった。