深夜2時過ぎ、都内屈指のレコーディングスタジオ周辺は異様な空気に包まれていた。数台の捜査車両が路地を塞ぎ、私服捜査員がスタジオ内へと足を踏み入れる。緊迫したやり取りが数十分続いた後、フードを目深にかぶった人物が捜査員に付き添われて現れ、後部座席へと押し込まれた。
近隣住民の証言によれば、怒号や抵抗の様子はなく、終始張り詰めた静寂のなかで連行が行われたという。現場には微かなノイズとサイレンの反響だけが漂っていた。今回の事件に至る経緯解説として関係筋が明かしたのは、数週間前から周辺人物への接触や行動確認が執拗に行われていたという事実だ。突如訪れた破滅ではなく、水面下で着実に進んでいた捜査線上の出来事だった。