ネット上の議論で頻繁に見受けられるのが、「三冠王獲得以降、極端に怪我が増えた」という言説です。しかし、この見方はプロ野球選手のフィジカル構造に対する誤解を含んでいます。
村上選手は高卒2年目の2019年からヤクルトの全試合出場を続け、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)などの国際大会でもフル回転してきました。20代前半でこれほど濃密なイニング数を守備・打撃ともにこなし続けた選手は、近年の日本球界でも極めて稀です。
真の要因は「怪我をしやすくなった」のではなく、極限のフル稼働がもたらした勤続疲労の蓄積にあります。さらに、相手投手の厳しい内角攻めに対応するため、打撃フォームのマイナーチェンジを繰り返す過程で、下半身の特定の筋肉群へかかる負荷バランスが変化したことも一因とされています。怪我の多発は肉体の衰えではなく、打者としての進化の過程で生じる過渡期の摩擦現象と捉えるのが、運動力学的に正確な分析です。