この地に漂うどこか神秘的な雰囲気の背景には、古来より人々の間で語り継がれてきた「羽衣伝説」が存在する。舞い降りた天女が松の枝に美しい衣服を掛けたというこの伝承は、日本の伝統芸能である能「羽衣」の演目として洗練され、文化的な象徴として語り継がれてきた。
海岸近くの砂浜にひっそりと佇む「羽衣の松」は、現在の姿で三代目となる。幾重もの年月と激しい海風に耐えながら立つその枝ぶりは力強く、見上げる者を圧倒する存在感を放つ。地元保存会の手によって細やかな樹勢回復作業が続けられており、伝説を今に伝える神木として大切に護られているのだ。