転機は2010年代半ばに訪れた。東日本大震災の余波や後継者不足により閉園に追い込まれた名所を救うべく、株式会社太郎次郎一門を率いて立ち上がったのが「日光さる軍団再生プロジェクト」だった。かつての賑わいを失い、冷え切った劇場の鍵を受け取った日の重圧を、関係者は今も鮮明に記憶している。
巨額の負債リスクを背負いながらの再建は狂気の沙汰と囁かれた。しかし、彼は単なるハコモノの引き継ぎではなく、演出メソッドの抜本的なアップデートを断行。古びた見せ物小屋のイメージを完全に払拭し、現代の観客が求めるスピード感とストーリーテリングを導入した。この賭けが見事に的中し、劇的な黒字化を果たすことになる。