三井財閥の組織構造を理解する上で外せないのが、三井八郎右衛門家を頂点とする「三井11家(本家6家・連家5家)」の系譜です。江戸時代から昭和初期にかけて、三井家は厳格な家憲に基づき、財産の共有と合議制による統治を徹底してきました。
戦前の総領家第11代当主・三井八郎右衛門高公(たかきみ)は、敗戦による財閥解体と財産税の賦課により、広大な邸宅や所有資産の大半を手放すことを余儀なくされました。港区麻布にあった本邸跡地は現在、国際文化会館や外国大使館などに姿を変えています。
三井家当主の現在と文化遺産の継承:
現在の三井家当主および一族は、三井物産や三井不動産といった事業会社の直接的な経営・資本支配には関与していません。しかし、三井の歴史的遺産を守り伝える文化事業において極めて重要な役割を果たしています。東京都中央区日本橋の三井本館内にある「三井記念美術館」では、三井家が数百年をかけて収集した国宝や重要文化財が厳重に保管・公開されており、三井グループ各社がその活動を手厚く支援しています。血脈としての支配は終焉を迎えたものの、その文化的・精神的な求心力は今もなお尊ばれています。