中学生協や指定業者を通じて春先に一括配布されるワークブックは、一般の大型書店を探し回っても見つけることができません。この現状に対し、保護者からは「紛失時にすぐ買い直せないのは不便だ」という不満の声が上がりがちです。しかし、学校専売教材が一般販売されない理由には、日本の公教育が抱える評価制度と緻密な流通システムに起因する明確な根拠が存在します。
教材出版関係者の証言によると、学校専売教材は「学校現場での指導と評価の公平性」を最優先に設計されています。もし誰でも書店で自由に解答付きのワークを購入できる環境が整ってしまうと、夏休みや学期末の提出課題において自力で解かずに答えを丸写しする行為が横行し、生徒個人の真の学習到達度を正確に測ることが困難になります。教科担任が課題の回収時に「学習のプロセス」や「間違いの訂正状況」を観点別評価に反映させるためにも、一般ルートへの流通制限は教育現場からの強い要請に基づいているのです。
さらに、発行元であるよくわかる社会の学習 明治図書をはじめとする教育専門出版社は、教育委員会や各学校が採択した教科書(東京書籍、帝国書院、教育出版、日本文教出版など)に一言一句のレベルで内容を合致させた「教科書準拠版」を緻密に作り分けています。一般書店での取り扱いを許可した場合、生徒が誤った教科書会社対応の教材を購入する誤認トラブルが多発する懸念もあります。加えて、教員向けに提供されている定期テスト作成支援システム『テストスタジオ』などの指導用デジタルデータベースとのセキュリティを保つ目的からも、流通ルートが学校・特約教材代理店経由に厳格に一本化されています。