TYPE-MOONのシナリオライター・奈須きのこ氏が生み出す緻密かつ膨大な世界観は、時に既存のゲームシステムの限界をあっさりと突破してしまう。数十万文字に及ぶプロット、前代未聞の特殊ギミック、章の進行に伴って劇的に変貌を遂げるマップデザイン。それらを破綻させることなく、一本の破綻なきエンターテインメントとして実装するのがゲームディレクターの腕の見せ所だ。
「奈須さんから届くプロットを見るたび、驚きと同時に開発者としての闘志が湧き上がる」とカノウ氏は語る。ビジュアルノベルの持つ文学性と、戦略性の高いコマンドバトルが美しく噛み合う奇跡的なバランス。クリエイター陣の妥協なきせめぎ合いとリスペクトの連鎖こそが、『Fate/Grand Order』を唯一無二のマスターピースへと昇華させた最大の原動力であることは間違いない。