ガタゴトと揺れる電車のシートで、羽村隆夫(真田広之)と二ノ宮繭(桜井幸子)は眠るように身体を寄せ合っていた。二人の小指には、繭が固く結んだ一本の「赤い糸」。窓から差し込む夕光が二人を包み込み、画面はそのまま静寂へと溶けていく。一見すると美しい旅路の終わりに見えるが、この場面こそが本作最大の謎であり、視聴者を二分する運命の分岐点だ。
結論から言えば、この結末には「二人は眠るように息を引き取った(心中説)」と「傷つき疲れて眠っているだけである(生存説)」という二大解釈が存在する。羽村の手からこぼれ落ちた睡眠薬の小瓶、そして死を思わせる静けさ。しかし、脚本を務めた野島伸司は意図的に明確な答えを画面上に提示しなかった。2026年現在の視点から改めてこのラストを紐解くと、製作者側が託したのは「社会の倫理やタブーから解き放たれ、二人だけの絶対的な領域に到達した」という魂の救済そのものであったことが浮き彫りになる。