富山がなぜこれほどまでにガラスに情熱を注ぐのか。そのルーツは江戸時代に遡る「越中の売薬」にある。丸薬を入れるガラス瓶の製造から始まった職人たちの技術は、近代化の波を経て一度は途絶えかけた。しかし富山市は1980年代から「ガラスの街づくり」を掲げ、後継者の育成と芸術文化の振興に舵を切った。
その発信基地として機能しているのが富山ガラス工房であり、国内外から集まる作家たちの創作の現場となっている。街全体でガラス作家を育て、美術館で世界トップレベルの作品を展示し、市民の日常にガラス器を根付かせる。30年以上の歳月をかけて紡がれたこのエコシステムは、今や富山の文化観光業を牽引する力強いエンジンへと成長を遂げた。