浅田真央の表現力を飛躍的に進化させた立役者が、ロシアの名伯楽タチアナ・タラソワです。それまでの「可憐で軽やか」な少女のイメージから、重厚で情熱的な大人の表現者へと脱皮させるべく、タラソワはあえて難解でドラマチックな楽曲を与え続けました。
バンクーバー五輪の「鐘」では、重厚な鐘の音に合わせて重圧と闘う強靭な精神力を要求。ソチ五輪の「ラフマニノフ」では、苦難を乗り越えて光を掴み取る人間のドラマをプログラムに託しました。タラソワの妥協なき指導と深い愛情によって、浅田真央のスケーティングは単なるスポーツの技から、観客の感情を激しく揺さぶる「氷上の総合芸術」へと昇華したのです。