古代インドで生まれたヨガは、根本的な目的が「解脱」と「心の平穏」にある。古典ヨガの基礎を築いた聖者パタンジリが編纂した『ヨーガ・スートラ』では、心の静寂を得るための八支分法が示された。ポーズ(アーサナ)はそのプロセスの一部に過ぎない。呼吸と姿勢を通じて自己の内面を見つめ、精神の安定を目指すのが本来の姿だ。
対照的に、ピラティスは20世紀初頭にドイツ人看護師ジョセフ・ピラティスが開発した運動療法だ。第一次世界大戦の戦傷病兵にベッドの上でリハビリを施したことが始まりである。西洋の解剖学と運動生理学に基づき、骨格の歪みを整え、深層筋を解剖学的に鍛え上げる。精神世界への没入ではなく、構造的な身体機能の再構築を目的としている点が大きな違いだ。