1990年代中盤、CDセールスがミリオンを連発していた絶頂期、突如として彼を襲った病魔。歌おうとしても声が出ない。日常会話すら困難になるほどの重い症状に、周囲も本人も困惑と絶望の渦に叩き落とされた。日本を代表するトップボーカリストが自分の声を失う苦しみは、察するに余りある。医学的なアプローチでも明確な原因が特定できない中、バンドは長期活動休止を余儀なくされ、1999年には解散という苦渋の決断を下すこととなった。
失意の底にあった彼は、音楽業界から物理的な距離を置き、山や森といった豊かな自然環境に身を置くことで自らの心と向き合い続けた。長い歳月をかけたリハビリテーション、そして自己との愚直な対話。声帯の機能を取り戻すプロセスは、単なる喉のトレーニングにとどまらず、精神的な葛藤を一つひとつ解きほぐす過酷な探求の旅でもあった。