一方で、日本の葬儀業界は過渡期を迎えている。直葬(火葬式)や家族葬の割合は年々増加し、従来の仰々しい法要は敬遠される傾向が強まった。簡素化の波は止まらない。しかし、儀式を極限まで削ぎ落とした結果、グリーフケア(悲嘆の癒やし)のプロセスが抜け落ちてしまうという課題も浮き彫りになっている。
形骸化したお布施や戒名制度には疑問の目が向けられるが、本質的な「祈りの言葉」だけは手放したくないというニーズは根強い。形は変われど、大切な人を失った悲しみを癒やすための「言葉の装置」として、回向の存在感はむしろ増している。