昭和から平成へと元号が変わる熱気の中で、日本中から脚光を浴びた家族の物語。その渦中にいた神田正輝は、正義感あふれる刑事役を熱演し、緊迫感漂う刑事ドラマの看板俳優としてお茶の間の心を掴んでいた。男臭いアクションと情に厚い芝居で知られた彼だが、家庭で見せる表情は一転して柔らかいものだったという。
「沙也加が生まれた日、病院の記者会見で見せた笑顔は、彼が劇中で見せるどんなアクションシーンよりも雄弁だった」と、当時の芸能記者は振り返る。世間からの過剰な注目に晒される娘を、いかにして普通の感覚で育て守るか。父親としての模索は、多忙を極める撮影の合間にも途切れることはなかった。少女時代の沙也加にとって、父は大きな安心感そのものだったのだ。