一般的な消防士のイメージといえば、ホースを構えて消火活動に当たる姿かもしれない。だが、現場で実際に前線を指揮する消防隊長と、その上位に位置する消防司令とでは、課された任務のスケールが大きく異なる。消防隊長が現場の小隊(4〜5名程度)を率いて直接的な消火・救助活動を遂行するのに対し、消防司令は現場全体の「全軍指揮」を任される立場だ。
現場指揮本部のトップとして、危険度や火災の拡大予測、要救助者の位置情報などを総合的に判断し、複数の隊をどのように配置すべきかを瞬時に決断する。さらに、警察や自衛隊、医療機関との連携窓口としての役割も果たす。消防・緊急救助の現場において、司令の決断一つが数百人の命に直結するため、現場の混乱を抑え込む強い統率力と冷静沈着な分析能力が不可欠とされる。