山寺と『アンパンマン』の歴史を語る上で外せないのが、2019年の大きな転換点だ。長年ジャムおじさん役を務めた故・増岡弘さんから役を引き継ぐことが発表された際、アニメファンには驚きと同時に深い納得感が広がった。元々めいけんチーズ役として「ワン!」という鳴き声だけで喜怒哀楽を表現してきた山寺にとって、ジャムおじさんは作品の温もりそのものを体現する重要ポストだ。
バトンを受け取った山寺は、増岡さんが長年築き上げた温かみのある声質を重んじつつも、自らの息吹を自然に吹き込んだ。単なる模倣にとどまらないその演技は、長年のファンからも「違和感がないどころか、愛と敬意が伝わってくる」と絶賛された。偉大な先輩へのリスペクトを胸に、彼は今もパン作りの優しき名人を演じ続けている。