シリアスで重厚な名言が、なぜネット上の定番ネタへと転じたのでしょうか。その契機となったのは、5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)の「なんJ(なんでも実況J)」をはじめとする掲示板文化です。
ネット空間では、他人の忠告を一切聞かずに怪しい投資に全財産を注ぎ込む人や、SNSで大炎上しているにもかかわらず煽りを重ねて火に油を注ぎ続けるユーザーが後を絶ちません。そうした「自ら破滅へ突き進む存在」を目の当たりにしたネットユーザーたちが、長老のアイコンや語り口を模して「…わしらには救えぬものじゃ」と書き込んだことで、抜群の切れ味を持つリアクションとして広まりました。
怒りや直接的な批判をぶつけるのではなく、あえて一歩引いて「達観した老人」のポジションから静かに見送るというシュールな構図が、ネット民のシニカルなユーモア感覚と見事に合致したのです。