『マツコ&有吉の怒り新党』がテレビ朝日の水曜深夜(ネオバラエティ枠)に進出するやいなや、瞬く間に社会現象となった最大の要因は、架空の政党「怒り新党」という秀逸なフォーマットにありました。幹事長を務めるマツコ・デラックスと、政調会長の有吉弘行という、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった論客2人が机を並べ、国民(視聴者)から寄せられた日々の怒りや不満に対して白黒をつける構成です。
この番組を単なる愚痴の掃き溜めに終わらせなかったのが、総裁秘書として進行を担当したフリーアナウンサーの夏目三久の存在でした。日本テレビを退社しフリーに転身した直後だった夏目アナは、マツコと有吉の激しい応酬を凛とした姿勢で受け止め、時に天然な毒舌や鋭い一言で2人を翻弄。3人の間に生まれた絶妙な距離感と信頼関係は、スタジオに唯一無二のグルーヴ感をもたらしました。
視聴者からの投稿メールに対して下される「採用(怒っていい)」「不採用(怒るほどではない)」、そして判断保留を意味する「お祈り」という判定システムは、視聴者の日常のモヤモヤをエンターテインメントへと昇華させました。単に投稿者を肯定するだけでなく、「それはあなたが悪い」「相手の立場になれば分かる」と客観的な視点を突きつけるフェアな姿勢こそが、視聴者からの絶大な支持を集めた根源です。