デビルズトリックのブラック系カラー(キラーブラックやクールブラック等)を使用したユーザーから最も多く寄せられるトラブルが、「数日洗ったら髪がマットなカーキやゾンビのような緑色になった」という現象です。この現象は製品の不良ではなく、ヘアカラートリートメントに用いられる染料の化学的性質と、塗布する毛髪のベーストーンとの相互作用によって必然的に引き起こされます。
一般的なブラックのカラートリートメントは、単一の「黒いインク」で染めているわけではありません。青、赤、黄、緑といった複数の塩基性染料およびHC染料を絶妙な比率で調合し、視覚的に漆黒やダークトーンを表現しています。特に寒色寄りの透明感や引き締まった黒を演出するため、青系や緑系の色素が高濃度に配合される傾向があります。
ここで問題となるのが、染料ごとの「分子の大きさ」と「退色スピードの差」です。赤や黄色の暖色系染料はシャンプーの界面活性剤によって比較的早く流出しやすいのに対し、青や緑系の染料は毛髪表面のケラチンタンパク質と強固にイオン結合し、髪に長く留まりやすい特徴を持ちます。その結果、赤みが先に抜け落ち、髪の上に青・緑系の色素だけが取り残されます。
さらに、ブリーチ毛やカラーを繰り返して明るくなった髪には、日本人の髪特有の「黄色のアンダートーン」が強く残っています。ベースにある「黄色」と、髪に残留した「青・緑色」が重なり合うことで、絵の具を混ぜたときと同じ原理で鮮やかなカーキや深緑色へと変色して見えてしまうのです。