全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)や映画業界関係者の推移データを紐解くと、1960年代から1970年代にかけて全盛を極めた成人映画館は、日本全国で400館以上を数えていました。しかし、2026年時点における現存館数は約30館前後にまで縮小しています。地方都市の駅前や歓楽街を象徴していた映画館の看板は、ここ10年余りで劇的に姿を消しました。
この閉館ラッシュを引き起こした構造的要因は、主に以下の3点に集約されます。
- デジタル配信の普及と視聴環境の激変:スマートフォンや光回線の普及により、個人が誰にも知られず自宅で高画質動画を視聴できる環境が完成したこと。
- 劇場の老朽化とデジタル上映(DCP)移行コスト:昭和中期に建てられた建築物の老朽化や耐震基準の問題に加え、フィルム上映からデジタルプロジェクターへの設備更新投資に耐えられない興行主が相次いだこと。
- 観客層の高齢化と都市再開発:長年劇場を支えてきたシニア層の減少と、駅前歓楽街の再開発に伴う立ち退き・ビル解体が拍車をかけたこと。
かつて娯楽の王道として機能していた興行形態は、時代の波に飲まれながらも、残された一部の劇場がニッチな需要と文化的価値を武器に踏みとどまっています。