インターネット上で「ホンビノス貝が危険」と検索される最大の要因は、主要な産地である東京湾の水質汚染に対するイメージと、二枚貝特有の貝毒への懸念にあります。
北米原産の外来種であるホンビノス貝は、1990年代後半に千葉県の東京湾沿岸(三番瀬周辺など)で生息が確認され、生命力の強さから急速に定着しました。かつての工業排水による海洋汚染の記憶から「東京湾の底泥に棲む貝は有害物質を溜め込んでいるのではないか」という風評が根強く残っていますが、現在の環境基準や衛生基準に照らし合わせると、実態は大きく異なります。
千葉県農林水産部などの公的機関では、東京湾で漁獲される二枚貝に対して麻痺性貝毒・下痢性貝毒の定期モニタリング検査を毎週実施しています。毒化の原因となるプランクトンの発生状況を常時監視し、国の定める規制値(麻痺性貝毒:4MU/g、下痢性貝毒:0.16mg OA当量/kg)を超えた場合は即時に出荷自主規制が発動される仕組みです。
つまり、スーパーや飲食店など市場に出回っている千葉県産の安全性は公的に厳格担保されており、正規の流通品を食べて貝毒の被害に遭う確率は極めて低く抑えられています。ただし、一般人が管理区域外の海岸で自家採取した個体に関しては検査が及んでいないため、潮干狩り等での採取・喫食には十分な警戒が必要です。