2000年代半ば、かつて銀幕のトップ女優として凛とした美しさを誇った南田洋子がアルツハイマー型認知症を発症します。長門裕之は施設に預けることなく、自宅での献身的な老老介護を決意しました。
2008年、長門はテレビの報道ドキュメンタリー番組において、妻の認知症闘病のありのままの姿を公開。カメラの前で夫の顔すら認識できなくなっていく妻を抱きしめ、食事や排泄の世話を続ける長門の姿は、日本中に計り知れない衝撃を与えました。
放送当時、視聴者の間では激しい議論が巻き起こりました。SNSやネット掲示板、視聴者センターには二つの対極的な意見が殺到したのです。
【肯定派の声】
「認知症のリアルな苦しみや家族の葛藤を隠さず見せてくれたことで、誰にも相談できず孤立していた全国の介護家族が救われた」「かつての過ちを背負いながら、最期まで妻に寄り添う姿に本物の夫婦愛を見た」
【批判派の声】
「大女優としての尊厳を奪い、意識の混濁した姿を見世物にしているのではないか」「かつての暴露本と同様に、自己陶酔とメディアへのアピールではないのか」
番組ディレクターや関係者の証言によると、長門自身もカメラを入れることには葛藤があったとされています。しかし、「同じ苦しみを抱える人々に現実を知ってほしい」「洋子が生きた証を逃げずに記録したい」という強い信念が彼を突き動かしていました。その介護生活は、かつての派手なスター生活とは無縁の、過酷で孤独な闘いそのものでした。