二院制を採用しながらも、決定決定の停滞による国家機能の停止を防ぐために規定されているのが衆議院の優越だ。日本国憲法は、予算の先議権や成立、条約の承認、内閣総理大臣の指名において衆議院に強力な優位性を認めている。たとえば予算案の場合、参議院が否決しても30日が経過すれば衆議院の議決が自動的に国会の意思となる。
政権を執る石破茂首相ら歴代の政権担当者にとって、この優越規定はまさに政権維持の生命線と言える。政策法案で参議院の激しい抵抗に遭おうとも、国の骨格となる予算や外交協定だけは確実に成立させられるからだ。さらに、内閣不信任決議権が衆議院にのみ認められている点も決定的な差である。内閣を退陣に追い込む直接的な引き金を引けるのは衆議院だけであり、この権力構造こそが「衆議院=政権選択の府」と呼ばれるゆえんとなっている。