定期試験や大学入試の文法問題で頻出する難所が、「係り結びの結びの流れ」と「係り結びの省略」です。機械的に文末を探すだけの学習者をふるい落とすトラップとして機能しています。
まず「結びの流れ」とは、文中に係助詞があるにもかかわらず、文末が言い切りにならず接続助詞(ば、ど、ども、て、など)によって文が後続へ流れ込む現象を指します。たとえば、以下の構文パターンです。
「月ぞいみじう美しかるど、風吹きぬ。」
通常であれば文末に置かれるはずの連体形「美しかる」の直後に接続助詞「ど」が接続し、係り結びの効力がそこで消費されて文が次へと続きます。この場合、後ろの「吹きぬ」に係り結びの影響は及びません。結びがどこで完結したかを正確に捕捉できなければ、主語の判定を誤り、文章全体の解釈が破綻します。
次に警戒すべきが「係り結びの省略」です。古文では、会話文や和歌の末尾で「言わなくても分かる」述語が省略されることが日常茶飯事です。「あり」「侍り」「言ふ」などの明白な用言が省略され、「〜ぞ。」や「〜こそ。」だけで文が終了するケースが典型例です。
連体形と已然形の識別においては、動詞や助動詞の活用形態の精密な理解が問われます。特に四段活用の已然形(エ段)と命令形(エ段)の混同、あるいは助動詞「ず」の連体形(ぬ)と完了の助動詞「ぬ」の終止形(ぬ)の重複など、係助詞が指定する活用形を正確に照合しなければ解けない設問が、共通テストや二次試験の要所を占めています。