本作のメロディを生み出したのは、90年代のJ-POP黄金期を牽引した名作曲家・織田哲郎(おだ てつろう)氏です。織田氏は当時のインタビューにおいて、「テンポ感がありながらも、どこか哀愁と切なさを帯びたポップロックの王道を目指した」と証言しています。
デモテープの段階では、80年代アメリカン・スタジアム・ロックを彷彿とさせる骨太なギターサウンドが軸になっていましたが、アレンジャーの明石昌夫氏の手によって、ピアノのリフレインと軽快なエイトビートが融合した洗練された構成へとブラッシュアップされました。短調から長調へと劇的に展開するコード進行が、聴く者の感情を高揚させ、自然と涙を誘うエモーショナルな推進力を生み出しています。
特筆すべきは、織田哲郎氏のキャッチーなメロディに対して、坂井泉水さんの「透明感がありながら芯の強いボーカル」が重なった瞬間の破壊力です。スタジオ録音時、坂井さんは声の倍音成分やサ行の発音に徹底的にこだわり、何十テイクものボーカルトラックを重ねて微細なニュアンスを追求しました。この職人的な緻密さこそが、30年以上経過したマスター音源にも色褪せない生命力を宿らせています。