木彫り熊の奥深い世界を本気で探求したくなった愛好家たちが、聖地として足を運ぶ場所がある。それが「八雲町木彫り熊資料館」だ。館内には、大正期の黎明期から現代に至るまでの貴重な作品がズラリと並び、そのバリエーションの豊かさに誰もが圧倒される。
八雲の木彫り熊を語る上で欠かせない伝説的作家たちの名作も間近で鑑賞できる。抽象美を極めた柴崎重行(しばざきしげゆき)の「ハツリ熊」、繊細な毛彫りと優しい表情が特徴の鈴木吉次(すずききちじ)、どこか丸っこく愛らしいフォルムでファンを魅了する茂木多喜治(もてぎたきじ)など、作家ごとに全く異なる個性が咲き誇っている。
一時期は大量生産のお土産品として衰退の危機に瀕した伝統工芸・民芸品産業だが、こうした資料館のたゆまぬ伝承活動やコレクションの公開によって、その真価が再発見された。単なる過去の遺物ではなく、一品ものの芸術作品として光が当たり直したことが、現在の空前のコレクターブームを下支えしている。