通常、球団の歴史を支えた功労者にはシーズン終盤やオープン戦で「引退試合」が用意され、最後の打席や守備機会でファンに別れを告げるのが通例です。しかし、赤星氏にはプレーを伴う引退試合が一切行われませんでした。
その理由は極めて明確で、ファウルチップが首に当たる、あるいは見逃し三振の際に無理な体勢を取るだけでも再発のリスクがあったためです。「グラウンドに立つこと自体が命懸け」という状態だったため、球団側も打席に立たせるリスクを冒すわけにはいきませんでした。
結果として、2010年3月のオープン戦前にセレモニーのみが実施され、スーツ姿でファンに感謝を伝える異例の形となりました。最後まで全力疾走を貫いた男らしい引き際であると同時に、怪我の深刻さを物語る象徴的なエピソードとして語り継がれています。