文学や俳句の世界において、「風あざみ」は正式な歳時記に収載された季語ではありません。しかし、句作や文学的な鑑賞においては、極めて豊かな季節感を放つ言葉として認識されています。
本来、植物の「アザミ(薊)」は春から夏にかけての季語とされるケースが多いものの、秋に咲くアザミ(ノハラアザミやキセルアザミなど)も多数存在します。陽水氏が「夏が過ぎ」という導入に続けて「風あざみ」と置いたことで、読者やリスナーの脳裏には晩夏から初秋へと移り変わる涼やかな風が想起されます。
正式な季語という枠組みを超えて、たったひと言で季節の移ろいを感じさせる詩的な力は、現代の短歌や自由律俳句の世界でも高く評価されています。