「つわりがないと赤ちゃんの発育に問題があるのではないか」という長年の疑問に対し、近年の周産期医学は明確な根拠を示しています。妊娠が成立すると、母体の中ではプロゲステロン(黄体ホルモン)やエストロゲン、そしてhCGが爆発的に増加します。通常、この急激なホルモン変動に自律神経や胃腸の働きが追いつかないことで、吐き気や倦怠感といった症状が引き起こされます。
ところが、自律神経の調整機能がしなやかであったり、消化管の受容体がホルモン刺激を受けにくい体質の場合、体内のホルモン濃度が正常に上昇していても、表面上の不調として表に現れません。2026年現在の最新研究でも、「つわりの重さ」は母体の代謝ルートや特定の遺伝子バリエーションに依存することが解明されており、症状が出ないのは母体がホルモンの劇的な変化に素早く適応できている結果に過ぎないケースが多いのです。