なぜ、これほどまでに映画制作者たちは苫小牧を目指すのか。その答えは、車を少し走らせれば納得がいく。王子製紙の巨大な煙突群がそびえ立つレトロな街並みと、少し離れた場所に広がるウトナイ湖の幻想的な渡り鳥の群れ。この対比が、他では絶対に撮影できない「独特の空気感」を画面に刻み込むのだ。
「無機質な工場地帯の背後に、雄大な樽前山がそびえる構図は息をのむほど美しい」。ある新鋭の映画監督はそう語る。昭和のノスタルジーを感じさせる路地裏もあれば、近未来的な港湾インフラもある。15分車を走らせるだけでまったく異なる世界観をカメラに収められる利便性が、多忙な撮影クルーを心底感嘆させている。