JRと南海電鉄が交差する新今宮駅の改札を出ると、漂ってくる香りが変わったことに気づく。かつての安酒とタバコの煙が混じり合った独特の空気感は消え、アロマオイルや煎りたてのコーヒーの香りが混ざり合う。星野リゾートの「OMO7大阪」開業を皮切りに始まった周辺エリアの再開発は、2026年現在、街全体の価値を根底から書き換えた。
関西国際空港からの直通アクセスという地理的優位性は、インバウンド市場にとって絶好の標的だった。欧米や東南アジアからの旅行者がスーツケースを引きながら古びた商店街を闊歩する光景は、もはや日常だ。地元で長年営業を続ける居酒屋の店主は、「昔はお客さんといえば作業員さんばかりだったが、今は英語や中国語のメニューを置かないと商売にならない」と苦笑交じりに語る。