医療現場において、エアロゾルは院内感染防止の最重要ターゲットとして扱われています。特に注意を要するのが、治療や検査の過程で人為的に大量の微粒子を生み出してしまう「エアロゾル発生手技(AGPs:Aerosol-Generating Procedures)」です。
代表的な手技には以下の医療行為が含まれます。
- 気管挿管・気管切開術
- 気管支鏡検査および喀痰吸引
- 心肺蘇生時のバッグバルブマスク換気
- 歯科治療における超音波スケーラーや高速ハンドピースの使用
これらの処置を行う際、患者の気道粘液や体液が高圧の気流や振動によって急速に微粒子化され、室内空間に高濃度の病原体エアロゾルが飛散します。そのため医療従事者は、通常のサージカルマスクではなく微粒子捕集効率95%以上を誇る「N95マスク」やアイシールドを着用し、陰圧室(気圧を下げて外への空気漏出を防ぐ部屋)で厳重なオペレーションを実施します。