ハリウッドで確固たる足場を固め、今や名実ともに世界基準のアクション・ドラマを牽引する真田広之。その一挙手一投足に世界中の映画ファンが息をのむ。だが、1997年に両親が道を分かち合って以降、奨と弟の日向は母・手塚理美のもとで暮らし、母方の姓を選んだ。
あえて「真田」の威光を名乗らない。それは単なる親権の都合を超えた、ひとりの表現者としての無言の意思表明だったのかもしれない。家の中には常に多種多様な映画と音楽が溢れていたという。恵まれた感性の土壌に身を置きつつも、過剰なチヤホヤとは隔絶された日常。自らの足で立ち、自らの手で作品を生み出さなければ何も始まらないという感覚は、幼少期にすでに叩き込まれていた。