彼女の文学的キャリアの原点は、聖心女子大学在学中に遡る。若き日に遠藤周作らと同人誌で腕を磨き、1954年に『遠い風』が芥川賞候補となったことで一躍文壇の脚光を浴びた。日本の現代文学におけるカトリック文学の系譜において、彼女は遠藤とはまた異なる、極めて現実的かつ実用的な視点から信仰と人間の葛藤を描き出していった。
信仰を抽象的な神学論争へと閉じ込めるのではなく、日々の生活や人間関係の摩擦と直結させる姿勢。それこそが彼女の作風を決定づけた最大の魅力だ。善人ぶった偽善を嫌い、人間のエゴイズムを直視する視線は、デビュー当時から一貫していた。